平成21年12月18日最高裁判例 遺留分回復請求と賠償する額の確認の利益

平成21年12月18日最高裁判例 遺留分回復請求と賠償する額の確認の利益

ブログで見つけた判例を紹介します。

受遺者の弁償すべき額

◎債務不存在確認等,遺言無効確認等請求事件◎

(平成21年12月18日 最高裁判所第二小法廷判決 破棄差戻し)

引用元:出た!最例

平成21年12月18日 最高裁判所第二小法廷

遺留分減殺請求を受けた受遺者が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,目的物の現物返還請求も価額弁償請求も受けていない場合における,受遺者の提起した弁償すべき額の確定を求める訴えと確認の利益

引用元:裁判所判例Watch

問題の所在

確認訴訟をするためには、確認する利益が必要です。

遺留分を侵害した者は、目的物の返還にかえて価格を賠償することができますが、その価格は、現実賠償時もしくは、遺留分権利者が価格賠償を請求する訴訟の事実審口頭弁論終結時を、基準として判断されます。

この事件では、遺留分回復請求はあったものの、遺留分権利者は目的物の返還請求も価格賠償請求もしていません。

そこで、確定していない賠償額の存在を確認する利益があるかが問題となりました。

被上告人のうちの一人(被上告人Y1)は、価格賠償がないことの確認を求め、もう一人(被上告人Y2)は価格賠償の額が一定以上存在しないことを確認する判決を求めました。

結論と理由

原審は、賠償額の現実の履行、もしくは履行の提供をしていない限り、金額は確定しないといって訴えの利益がないとして訴えを却下しました。

被上告人Y1について

前記事実関係等によれば,被上告人Y1に対する確認の訴えは,これを合理的に解釈すれば,本件遺言による遺産分割の方法の指定は被上告人Y1の遺留分を侵害するものではなく,本件遺留分減殺請求がされても,上記指定により上告人が取得した財産につき,被上告人Y1が持分権を取得することはないとして,上記財産につき被上告人Y1が持分権を有していないことの確認を求める趣旨に出るものであると理解することが可能である。そして,上記の趣旨の訴えであれば,確認の利益が認められることが明らかである。

そうであれば,原審は,上告人に対し,被上告人Y1に対する確認請求が上記の趣旨をいうものであるかについて釈明権を行使すべきであったといわなければならず,このような措置に出ることなく,被上告人Yに対する確認の訴えを確認の利益を1 欠くものとして却下した点において,原判決には釈明権の行使を怠った違法があるといわざるを得ず,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

被上告人Y2について

受遺者等が弁償すべき額が判決によって確定されたときはこれを速やかに支払う意思がある旨を表明して,上記の額の確定を求める訴えを提起した場合には,受遺者等がおよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り,通常は上記判決確定後速やかに価額弁償がされることが期待できるし,他方,遺留分権利者においては,速やかに目的物の現物返還請求権又は価額弁償請求権を自ら行使することにより,上記訴えに係る訴訟の口頭弁論終結の時と現実に価額の弁償がされる時との間に隔たりが生じるのを防ぐことができるのであるから,価額弁償における価額算定の基準時は現実に弁償がされる時であること(最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日第二小法廷判決・民集30巻7号768頁参照)を考慮しても,上記訴えに係る訴訟において,この時に最も接着した時点である事実審の口頭弁論終結の時を基準として,その額を確定する利益が否定されるものではない。

遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者等が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合において,弁償すべき額につき当事者間に争いがあり,受遺者等が判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して,弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは,受遺者等においておよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り,上記訴えには確認の利益があるというべきである。

引用元:判例検索システム(pdf)

被上告人Y1については、価格賠償がないことをもとめる確認訴訟は、遺産分割の方法をした遺言が遺留分を侵害していないことの確認を求める訴訟と同じであり、そうであれば確認の利益があると判断しました。

被上告人Y2については、現実の履行がないにしても、速やかに支払う意志があるのであれば、現実の履行に最も接着した時点である事実審の口頭弁論終結時を基準として額を算定することができるとし、訴えの利益を認めました。

感想

現実の履行が確実にされると言えないので、この判断に疑問をもつ方もいるでしょうが、価格の争いがある以上現実の提供は出来ないのですから、合理的な判断であると個人的には思います。

関連条文

第1041条(遺留分権利者に対する価額による弁償)

  1. 受贈者及び受遺者は減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる
  2. 前項の規定は前条第一項ただし書の場合について準用する

関連投稿


▼クリックをお願いしています。
にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ
にほんブログ村

2010年01月22日
コメントは受け付けていません。 | トラックバックURL |

カテゴリ: 判例 | タグ:

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

トラックバック&コメント

コメントは受け付けていません。


民法第1012条(遺言執行者の権利義務) »
« 民法第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)

色付き条文 説明

黄色 主語

赤色 定義 義務 みなし

水色 任意 権利 推定

緑色 条件

紫色 例外 但書

事務所公式サイト他

無料法律相談は立川市の認定司法書士

債務整理お悩み解決web立川八王子版

立川で地元密着山口達夫事務所ブログ

Get Adobe Flash playerPlugin by wpburn.com wordpress themes